・今までの茶室に付随する水屋は主に床に座った高さで蛇口や棚が組まれておりました。その高さの基準の主になっているものは「水」の扱いだと思われます。「水屋瓶」とあるように水は汲んできて瓶に入れておき使う形式であったものが現在では蛇口をひねれば水が出てきます。
瓶に入れておくので高い棚の上には置いて置けません。また、低い位置で道具を扱いますので排水も床の高さにしてあります。専門的な水屋を造るならば私もこうすべきだと思いますが、今回は後からの改造で水屋を造ることをしてみました。

専用のスペースはありませんので、クローゼットの半畳のスペースです。
既製品の流し台では格好が悪いので、ステンレスシンクのみを取り寄せてベース部分は木でつくりました。

クローゼットは2mほどの間口がありますが、建具は引き違いなので実際にはその半分弱の開口になります。
そこでW=900のステンレスシンク天板にベースは木製のキャビネットをつけ、全体の趣を考えて杉板張りにしています。



正面からの完成形(下部)です。
下部の建具は引き違いの襖にしてシンプルに仕上げています。



上部にはもう一段棚を設置しています。この段階でのポイントは釜を洗う際に蛇口が当たらない高さにする必要があります。
釜は毎回丁寧に仕舞わないと痛みますので、最低でもシンクに釜が入るスペースは必要です。

当初に述べている水の高さですが、床レベルで作業することはどうしてもスペースが必要になってきます。立ち位置で作業することによって狭いスペースでも可能となり、膝への負担も楽になります。ただし、割れ物を落とした場合は高さがありますので、注意してください。厚手のマットなどを引いておくといざという時に助かるかもしれません。

私個人の水屋経験で申しますが、実際に茶事・茶会が進行しているときは茶席のそばで水を流して排水の音がするようなことはしませんので、水屋は遠からず近からずの位置でこれくらいのものがあれば良いと思います。

現代風水屋
戻る